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名前のない日記

俺の俺による俺のための憑き物落としをしています。

地方にあるプライド山からお伝えします。

生まれてこの方ずっと地方住まいで、出張くらいでしか東京に行く機会がないようなしがない地方企業リーマンとしてはブログ説明文に「外資」と書いてドヤる人の気持ちはよくわからない。まぁある種のバズワードなんだろうけど。

papuriko.hatenablog.com

というわけで、これ読んだ。

「年収コンプレックスを抱える男は無理」という話なんだけど、そういうことを言う男の気持ちもわからなくはないんだよなぁ、というのが正直なところ。

うちの話をする。うちは共働きで、俺と配偶者の収入を合わせて上記ブログに登場する女性1人分にちょっと足らないぐらいの総収入になる。俺の方が配偶者よりも少し年が上なので、俺のほうが少しだけ収入が多い。

配偶者が妊娠すると「育児休業をどちらが取る」という話になる。幸い俺も配偶者の会社も育児休業は比較的取りやすく、「どちらが育休をとってもいい」という状況になった。当然だが育休を取れば取った人の収入は減る。仕事も休まなくてはならないので仕事に与える影響は大きい。場合によっては異動も受け入れなければならない可能性もある。

結局俺のうちでは配偶者のほうが育休を取ることになった。俺の方が収入が多く、彼女が育休を取った方が家計に与える影響は少ないためだ。彼女自身も働くことに対しての執着は大きくなく「子どもと一緒にいる方がストレスフリーで嬉しい」と言ってくれたのも大きかった。

でもやっぱり考えてしまうことがあった。

俺の方が彼女より収入が少なければ、俺が育休を取るのが合理的選択だ。彼女も仕事に対して熱心で「休みたくない」と言われれば俺の側に断る理由は乏しい。

こんなことを言うと叩かれるかもしれないが、俺は今の仕事が好きだ。やりがいもある。収入の多寡ではなく、今の仕事に関わることが将来的に自分の大きな財産になると思っている。そういう時に家計の収入における合理的選択として「自分が育休を取る」ということを俺は受け入れられるのか。

仕事をして生計を稼ぐことに俺は生活の大半を費やしている。仕事は既に自分を形成する大事な要素、アイデンティティとなっている。それを一時的とは言え失った時、俺は「ただ守られるだけの俺」*1であることを受け入れられるのか。

正直言って、俺にはその選択をする自信がなかった。


ただ生きているだけで、「自分が自分であること」だけで自分を肯定できる人、「東京大学物語」の水野遥みたいな人間は、世の中にそんなに多くないと思う。

自分も含め、普通の人はそこまで強くないので、成長にするにつれ自分を肯定するために様々なものを装備していく。それは「魅力的な容姿」だったり「学歴」だったり「明晰な頭脳」だったり「趣味」だったり「仕事」だったり「年収」だったりする。「他人より優れていること」だったりする。そういった様々な装備を身につけることで、人は「自分が自分であること」を守っているわけだ。

「自分が自分であること」を否定されるのはつらいことだ。ケースによれば、それは「モラハラ」と呼ばれたりもする。

「自信がないから」というのは間違っていないかもしれないけど正確でもないと思う。たまたま、その男性にとって致命的な部分が「年収」だったということじゃないだろうか。

人は誰しも尖った部分と柔らかい部分を持っている。上のブログの女性が持つ「尖った部分」は、プライド山に棲む男性の「柔らかい部分」を突き刺してしまった。そういうことじゃないか。

では、そういう「尖った部分」を持つ彼女らはどこに行けばいいのだろうか。

シンプルに考えれば、「年収」や「仕事」が致命的でない人、そこに重きを置いてない人を見つければいい、ということになる。彼にとってそこは「自分が自分であること」のために重要ではないのだから、彼女らの尖った部分は彼の柔らかい部分を傷つけないだろう。

それはもしかしたら彼女らが「養ってもらう気まんまんの夢見がちのクズプー」*2と蔑むような男性の中にもいるかもしれないが、そういう人にも「尖った部分」や「柔らかい部分」があるということ、それを思いやるということを知ってから出会った方がいいんじゃないかと思う*3ので、今しばらくは煉獄の中で生きてみるのもいいんじゃないだろうか。



というわけで、地方にあるプライド山からは以上です。

*1:育休に入れば家事や育児、配偶者のサポートという形で家を支えることが出来るのはわかっている。はっきり言ってこれは「適切な物言い」ではない。

*2:修正されたみたいで、元記事ではもう少しマイルドな表現になってましたが、いずれにしても会ったばかりの他人をそんなふうに表現する人が、他人に対する思いやりを持っているとは到底思えないのでどっちでもいいです。

*3:そういう「思いやり」のない人と付き合う人間は漏れなく苦労する。